亜鉛を含んだ洗浄水の排水処理システム
亜鉛含有排水処理システムとは
亜鉛含有排水処理システムとは、土木、建築現場で使用した足場等の仮設資材を洗浄する際に発生する亜鉛を含んだ洗浄水をポリ塩化アルミニウム(PAC)と高分子マイクロフィルターで濾過処理するシステムです。
処理水は循環再利用し、濃縮水は脱水機で脱水処理を行います。
亜鉛に関する「水質汚濁防止法施行規則等の一部改正する省令」
亜鉛の排水基準については、「暫定排水基準」の適用が認められている3業種(※)を除き、平成23年12月11日以降は、5mg/Lから2mg/Lに強化されています。(水質汚濁防止法施行規則等抜粋)
(※ 金属鉱業、電気めっき業、下水道業(の一部)の3業種)
(以下、2022年3月追加更新)
更に令和3年12月11日より、上記3業種の内、金属鉱業、下水道業に関しては一般の排水基準を適用する事とし、電気めっき業に関してのみ令和6年12月10日まで暫定処置を延期することになりました。
ただし、電気めっき業に関してもそれまでの暫定処理の許容限度であった「5mg/L」を「4mg/L」に強化しての施行となっておりますのでご注意下さい。
亜鉛処理に関する暫定処置についての環境省からの通告(令和3年9月24日)
「排水基準を定める省令等の一部を改正する省令の一部を改正する省令」の公布について
業種 | 適用期間 | 許容限度 |
電気めっき業 | 令和6年12月10日まで延長 | 暫定排水基準 4mg/L |
金属鉱業 | 令和3年12月11日から適用 | 一律排水基準 2mg/L |
下水道業 | ||
無機顔料製造業 | 平成23年12月11日から適用 | |
無機化学工業製品製造業 | ||
表面処理鋼材製造業 | ||
非鉄金属第一次製錬製造業 | ||
非鉄金属第二次製錬製造業 | ||
建設業建築用金属製品 | ||
製造業 | ||
溶融めっき業 |
システムの特徴
運転が容易
各装置は集中制御盤で制御されているため、運転操作が容易です。
汚泥減容化
濃縮汚泥水は、脱水装置で固液分離します。
リサイクル
ろ過水は、洗浄水として再利用ができます。
水質データ
排水基準 | 原水(洗浄水) | 処理水(ろ過水) | 備考 | |
pH | 5.8~8.6(海域外) | 9.9 | 8.6 | |
鉄(mg/L) | 10 | 19 | 0.1未満 | JIS K 0101(2016) 57.4 |
亜鉛(mg/L) | 2 | 76 | 0.03 | JIS K 0101(2016) 57.4 |
※排水基準は、生活環境項目にかかる排水基準(環境大臣が定める一律排水基準)
※原水(洗浄水)は、足場材付着物を洗浄した後の水
亜鉛含有排水処理システムフロー
システム構成
3.原水槽
仮設材を洗浄した水を貯留するタンク。原水ポンプにより撹拌槽へ原水を移送します。
4.攪拌槽
原水にPACを定量投入すると伴に苛性ソーダで亜鉛が析出するpHに調整後、攪拌・凝集させます。
5.凝集槽
一定時間処理水を滞留させて凝集を促進させます。
6.ろ過装置
フロック形成された処理水を高分子マイクロフィルターでろ過します。
7.ろ過水槽/pH中和槽
ろ過装置で処理したろ過水を貯留する水槽。ろ過水は、水洗クリーナーの洗浄水として循環再利用します。また、余剰水はpH中和槽へ移送されます。
8.ph中和装置
ろ過水のpHを炭酸ガスにより中和調整する装置。pH処理したろ過水は放流します。
9.濃縮汚泥槽
ろ過装置下部の濃縮水を排泥ポンプを使用して移送し、貯留するタンク。
10.脱水機
濃縮水を固液分離し減容化するための装置。処理水は原水槽へ移送し、脱水した汚泥は回収後、天日乾燥します。
配置レイアウト例
参考レイアウト1
参考レイアウト2
仕様
処理能力 | 約5~10㎥/時間 |
ろ過装置(MTP-05-10W) | 3.7m×1.4m×H2.7m 水槽容量約5㎥ |
pH中和装置 | 0.7m×0.925m×H0.8m 炭酸ガス式 |
脱水機(MTD-01) | 0.71m×0.71m×H1.15m 水槽容量約0.2㎥ |
原水槽 | 4.2m×1.68m×H0.91m 容積:5㎥ |
攪拌槽 | Φ1.3m×H1.22m 容積:1㎥ |
凝集槽 | Φ1.3m×H1.22m 容積:1㎥ |
ろ過水槽 | 1.38m×3.16m×H1.52m 容積:5㎥ |
濃縮汚泥槽 | 1.01m×1.51m×H0.92m 容積:1㎥ |